POPコンテスト2020結果発表
毎年、図書館と学部・学科との協働事業として開催している「POPコンテスト2020」に、今回も多数のご参加、ありがとうございました。
今年度はコロナ感染対策や遠隔授業の状況もあり、作品の応募はオンライン投稿としました。また、昨年度まで行っていました図書館での結果発表展示の代替策として、図書館HPのブログにて結果発表をさせていただきます。
学生のみなさんのおすすめ本への思いがつまった作品をぜひご覧ください。
今回は文学部の学生さんを中心に和書部門44点・洋書部門123点の計167点のご応募がありました。
そのうち、和書部門9作品・洋書部門16作品の計25作品を、和書部門は金賞・銀賞・銅賞、洋書部門は金賞・銀賞・銅賞・次点として、5名の審査員のみなさまに各自お選びいただきました。また、各賞ごとに講評もいただいております。
(K.S)
POPコンテスト2020受賞者一覧
※敬称略。氏名の掲載希望をしない方は匿名またはイニシャルで記載
和書部門 | ||||
賞 | 氏名 | 所属学科等 | 学年 | 審査員 |
金賞 | 山本葵 | 英語英米文学科 | 3年生 | 稲村理紗 |
金賞 | 塩田千尋 | 英語英米文学科 | 1年生 | 川上洋平 |
金賞 | 髙橋李音 | 英語英米文学科 | 1年生 | 元木章博 |
金賞 | 黒坂 春風 | 文化財学科 | 2年生 | 後藤春花 |
金賞 | 山田崇仁 | 文化財学科 | 1年生 | 山下周平 |
銀賞 | 江口絢香 | 英語英米文学科 | 2年生 | 元木章博 |
銀賞 | 兼田あみか | 英語英米文学科 | 2年生 | 後藤春花 |
銀賞 | 兼田あみか | 英語英米文学科 | 2年生 | 川上洋平 |
銀賞 | 塩田千尋 | 英語英米文学科 | 1年生 | 稲村理紗 |
銀賞 | 黒坂 春風 | 文化財学科 | 2年生 | 山下周平 |
銅賞 | 兼田あみか | 英語英米文学科 | 2年生 | 元木章博 |
銅賞 | 兼田あみか | 英語英米文学科 | 2年生 | 後藤春花 |
銅賞 | 塩田千尋 | 英語英米文学科 | 1年生 | 山下周平 |
銅賞 | 田中慶 | 英語英米文学科 | 1年生 | 川上洋平 |
銅賞 | 黒坂 春風 | 文化財学科 | 2年生 | 稲村理紗 |
洋書部門 | ||||
賞 | 氏名 | 所属学科等 | 学年 | 審査員 |
金賞 | 国井萌華 | 日本文学科 | 1年生 | 元木章博 |
金賞 | 鈴木理紗 | 日本文学科 | 1年生 | 稲村先生 |
金賞 | 佐藤凪紗 | 英語英米文学科 | 1年生 | 後藤春花 |
金賞 | 原田有彩 | 英語英米文学科 | 1年生 | 山下周平 |
金賞 | 山田莉奈 | 英語英米文学科 | 1年生 | 川上洋平 |
銀賞 | 小見 洸人 | 日本文学科 | 1年生 | 山下周平 |
銀賞 | 山田彩純 | 日本文学科 | 1年生 | 稲村理紗 |
銀賞 | 髙橋李音 | 英語英米文学科 | 1年生 | 元木章博 |
銀賞 | 三村亜希 | 英語英米文学科 | 1年生 | 後藤春花 |
銀賞 | 三村亜希 | 英語英米文学科 | 1年生 | 川上洋平 |
銅賞 | 藤井海人 | 日本文学科 | 3年生 | 川上洋平 |
銅賞 | 鈴木理紗 | 日本文学科 | 1年生 | 後藤春花 |
銅賞 | 森琴音 | 日本文学科 | 1年生 | 元木章博 |
銅賞 | 佐藤進太郎 | 英語英米文学科 | 2年生 | 山下周平 |
銅賞 | 佐藤凪紗 | 英語英米文学科 | 1年生 | 稲村理紗 |
次点 | 上村百花 | 日本文学科 | 3年生 | 山下周平 |
次点 | 匿名 | 日本文学科 | 1年生 | 川上洋平 |
次点 | U.I. | 英語英米文学科 | 4年生 | 稲村理紗 |
次点 | 横山諒 | 英語英米文学科 | 2年生 | 元木章博 |
次点 | 原田有彩 | 英語英米文学科 | 1年生 | 後藤春花 |
【審査員のみなさま】※敬称略。姓の五十音順
稲村理紗 | フリーランスのまちづくりファシリテーター |
川上洋平 | ブックピックオーケストラ代表 選書家/ブックセレクター |
後藤春花 | 鶴見大学英語英米文学科卒業生/POPコンテストアイコンよむねこデザイナー |
元木章博 | 鶴見大学文学部ドキュメンテーション学科教授/図書館長 |
山下周平 | 朝日新聞社高山支局長 |
和書部門 ※氏名の掲載希望をしない方は匿名またはイニシャルで記載
和書①
『死香探偵』
『死香探偵』!? なにそれめちゃくちゃきになる! というPOPを見た第一印象から選ばさせていただきました。本来マイナスイメージのある「死」という文字が大きく書かれていることと、「赤」という血を連想させる色が使われていることで人の目を引きつけているなと思いました。また、POPを見た人を気にならせる簡潔なあらすじ、「今日も死香は美味しく香る——。」という一節、そして人物が黒のシルエットで描かれていることで見た人にどんな話なのかを想像する猶予を与えてくれる(情報過多になってない)ところにも良さを感じました。
タイトルからは内容は分かりにくい部分をイラストを交えることで、「なるほど、そういう話か」と合点がいくように導いている。
作品の奇妙な雰囲気が、色遣いや人物のシルエット表現、タイトルのフォントで表現されており、ミステリー好きの人が書店でこのPOPを目にしたら思わず本を手に取りたくなるような訴求力のある作品です。
和書②
『ハックルベリー・フィンの冒険』
川上氏金賞
一見シンプルですが、迷いのない明確な線とパッと見やすい強調文字と色合い、すばらしいです。紙質と色の塗り方や下部の水の見せ方など、プロフェッショナルな質の高さを感じました。他のみなさんが見習ってほしいのは、文字の美しさです。一文字一文字、心を込めたことが感じられます。これは、参加者のみなさんに対しての言葉ですが、下書きや写しを使ってもいいので、誰か大切な人に手紙を書くように、思いを込めて清書をしていただければ、全体的にグっとレベルが上がると思いました。
笑顔でかわいらしい表情の少年と対照的に「地獄へ落ちてやれ」というキャッチコピーが非常にインパクトが強く、印象に残るPOPです。キャッチコピーやリード文の強弱、余白の使い方等、POPの構成が大変優れていると感じました。
フォントのメリハリが効いていて、キャッチの言葉が強い。柔和なイラストとのアンバランス差が興味を引かれた。
和書③
英語英米文学科2年 兼田あみかさん
『秘密の花園』
少し懐かしさを感じさせるデザインですが、その懐かしい感じに文学的な味わいが感じられる作品でした。描きこみの細かさに、楽しく描かれたのではないかな、という感じがして好感が持てます。絵柄が丁寧な分、紹介文の配置やペンの太さにもう少しだけ気を配ってもらえたら、さらに良い印象になったように思います。
後藤氏銀賞
花園へと誘われるような小道の枠や木の板でつるされているように書かれたタイトルのデザイン、そして小鳥と少女のイラストに惹かれて選びました。可愛らしくもどこか物憂げな少女の姿は、POPに書かれているようにひねくれて気難しいメリーの性格が映し出されているように思います。また、水色の花々と散りゆく花びらからは彼女の寂しさを際立たせているように感じました。
読んだことがない作品なのですが、令嬢メリーの行方が心配で、気になって仕方がない気分になりました。秘密の花園?へ足を踏み入れて、メリーは一体どうなってしまうんですか!?
和書④
英語英米文学科3年 山本葵さん
『グレート・ギャツビー』
稲村氏金賞
コラージュ手法による表現が斬新かつ丁寧なPOPの作りに、作品への愛情を感じました。おそらく作中でキーとなるアイテムがコラージュで表現されており、目元が隠された笑顔の主人公が更に「読みたい欲」を擽ります。
和書⑤
『思考の整理学』
本の内容をシンプルな仕掛けで表現している。一目瞭然でうまい。使っている文字数も少なく抑え、シンプルに徹している。思考を整理してデザインされている。
和書⑥
『若草物語』
様々な読者を惹き込むための「・・・誰に自分を重ねますか?」という言葉が、とても魅力的でした。四姉妹の【色】をそれぞれに、彼女らが手にしているアイテム、リボンやヘアバンド、そして、瞳までも揃えて、キャラを立てています。「(また、)読みたい!」と思わせてくれる作品です。
和書⑦
『赤毛のアン』
マシューとマリラのセリフを引用したところが秀逸です。審査者は、アンよりもカスバート兄妹に年齢が近くなってきて、大学生の頃とは違う視点に立って、この作品「赤毛のアン」を改めて、読み直したいと思わせてくれた作品です。
和書⑧
『格差・貧困・無縁がきた道 米ベストセラー『ジャングル』への旅』
川上氏銅賞
銅賞はとても迷いましたが、荒々しい描き方が紹介の内容とも相まってこの作品を選びました。デザイン性は高いとは言えませんが、パンチのある一言と、紹介文の「考えて、考えて、考えてください。」という締めの切実さに惹かれました。偶然かもしれませんが、少し血の色を感じさせる赤色の背景にポップを配置して写真を撮られていたのが絶妙で、印象に残りました。
和書⑨
『ハックルベリー・フィンの冒険』
ハックルベリー・フィンの『冒険』というとイカダに乗った姿がパッと思い浮かびますが、ハックとジムの2人にポイントを当てて描かれているところに良さを感じました。キーとなる地名が紙の切れ端として散りばめられているデザインも素敵だと思います。「あなたは「良心」と「心情」どちらを選択しますか?」という一言にも惹かれました。
洋書部門 ※氏名の掲載希望をしない方は匿名またはイニシャルで記載
洋書①
『Best Friends』
コーヒーの湯気に包まれるような“Best Friends”のタイトル、そして背景に描かれている花の模様と全体的にポップで温かみのある素敵な作品だと思います。また、私がこのPOPで注目したのが文字や描かれた人物の配色です。ヘザーの名前と服の色は赤、ゲイリーの名前と服の色は青、そして2人に共通する「友情」は赤と青を合わせた紫、「恋心」と「愛」はピンクで下線を引いて色分けされているところに目を見張りました。この色分けがされていることで引用されたセリフが誰のものかもわかる。では、2人を囲う線画ピンクなのは?などと楽しく考察ができる素晴らしいPOPです。
華やかなイラストと、幸せそうな二人の表情がとても素敵で、見ているだけで幸せな気持ちにさせるPOPです。POPではHAPPYな雰囲気ですが、リード文でヘザーの恋はいったいどうなるのか想像をかきたてられる、見事な表現です。
洋書②
日本文学科1年 鈴木理紗さん
『The Gashlycrumb Tinies or, After the Outing』
作品の内容を印象的なイラストにまとめたアイデア作です。順番に殺されてしまう子どもたちが本のページに載っており、本から滴る血の表現や簡潔なリード文。シンプルな色遣いや色選びが、より作品のおどろおどろしい印象を伝え、インパクト大のPOPです。
ページをめくることで死んでいく子供たちのイラストは一見物騒ではあるが、「死の運命に誘う、本当の死神はだれ?」という一文と合わせてみるとこの絵本がどういうものかを的確に表しているように思います。薄暗いグレーの背景色に赤字のタイトルがこの絵本の陰鬱さを上手に表現している作品だと感じました。
洋書③
『Home Stay in the UK』
「First Floor なのに1階じゃない!?」。日本人からすると、なんでと思ってしまう英語の不思議。この作品の核心をわかりやすい言葉を引用して伝えている。見出しとして機能している。字体、フォントともメリハリが効いていて、伝えたいことが目に飛び込んでくる。
後藤氏次点
大きく描かれた「First floor なのに1階じゃない⁉︎」という言葉に興味をひかれました。細部まで描かれたビック・ベンと二階建ての赤いバスのイラストからは一目でイギリスに関係のある本だとわかります。そこから最初に注目した言葉に戻るとそれがイギリス英語の特徴のことを言っているのだと気づかされました。こういったイギリス英語の独特な表現を含め、ジュンのイギリスでの20の気づきとはなんなのかと知的好奇心をくすぐる良いPOPだと思います。
洋書④
『The Christmas Carol』
今回は、バランスが惜しい作品が多く、銀賞以降はかなり接戦でした。この作品は、2人の人物と目線に誘導されるデザインの構図や色彩の豊かさなど、クオリティが高く、引用、紹介の文章、言葉の目立たせ方も気を配っていて、全体的に質が高いです。PCで作成することで、手書きと比べたときに表現の幅が広がっている反面、味わいが少しなかったところが残念で、最後の仕上げによってはさらによくなるように思いました。
主人公のスクルージをメインに描くのではなく3人の幽霊に焦点を当てているところや、幽霊にスクルージが手を引かれているという表現が素敵だと思いました。また、3人の幽霊に当たる光の加減から感じられる陰と陽の違いや、文字の配色、縦書きと横書きを使い分け、バランス良く配置されているところなど細部まで考えられている作品だと思います。
洋書⑤
『East of the Sun, West of the Moon』
愁いを湛えた少女の表情、ゆったり眠る白くま、そして謎めく王子。それぞれが、どんな関係性をもって、どんな話が進んで行くんだろう?と、「読んでみたい!」と直感的に思うことができた作品です。
洋書⑥
英語英米文学科1年 山田莉奈さん
『The Nightmare Before Christmas』
シンプルな色使いと、ポップ用紙全体を使ったデザインが躍動感があって目を引きました。左上、右下のポイントでアイコンを使っているところと、黒塗りで雪を降らしす演出も巧みで、最も達者な印象がありました。文字部分の書き方に少し強弱をつけるとさらによくなったようにも思います。
洋書⑦
『Aladdin』
優しく頼もしいアラジンが、こちらに手を伸ばして本の世界に誘ってくれるような、夢溢れるPOPです。遠近感のあるイラスト表現や、「Do you trust me?」という印象的なキャッチコピーに、今にもアラジンがPOPから飛び出して来そうな迫力を感じました。
洋書⑧
『Anne of Green Gables』
「読んでみたくなる!」という点において、とても目を惹かれた作品です。まさか、いちご水がダイアナを、あんな目に…。 非常に残念だったのは、赤毛のアンシリーズの最初の作品『Anne of Green Gables』に登場するアン・シャーリーだとすると、そばかすが描かれていなかった点でしょうか。
洋書⑨
『Romeo and Juliet』
名言を見出しに取っているのが良い。あえて手だけにクローズアップしたイラストと見出しが連動している。見出しが生きている。フォントもメリハリがきいている。
洋書⑩
『The Magic Paintbrush』
この「魔法の筆」で少年は、どんな絵を描いていくのだろう? それが、どんな話に繋がっていくのだろう?そして、少年と関わる農家の二人の運命が気になりました。
洋書⑪
『Run, Melos, Run』
キャッチが一番上にあり、フォントも大きく、正攻法でのつくり方で安定感がある。フォントのメリハリがもっと合っても良いかと思ったが、タイトルを斜めにしたことでキャッチが目立っている。引用もおなじみの冒頭でないのが良い。
洋書⑫
『The truth machine』
引用や文章、本を読みたいと思わせる強弱もうまく、科学者と被害者の表情がとてもうまく印象的で目を引きます。ポイントの付き方はほぼ完璧なのですが、目立たせ方の技術が少し足りていないところが素人っぽく見えてしまったので、文字の表現とデザイン性が上がると、すばらしい作品になると思いました。
洋書⑬
『Frankenstein』
コラージュ手法での大人っぽくスタイリッシュな表現が、他のPOPと差別化され目に留まりました。木目調のバックやコラージュの配置など、バランスやセンスを感じるレイアウトで、リード文も読ませたい箇所にラインを引くなど、シンプルながら訴求力のあるPOPです。
洋書⑭
日本文学科3年 上村百花さん
『The Frog Prince』
本のタイトルは細身のアルファベット。「約束は約束よ」のキャッチが太めゴチックで、フォントは小さいのに最初に目が行く。フォントのメリハリが効いている。キャッチは短く、「なんだろう」と思わせる。見出しとして理想的だ。
洋書⑮
『Kuchisake Onna』
裂け女の頬まで上がった口を印象的なトリミングで不気味に見せるデザインや、赤と黒の2色使いが、紹介文とうまく共鳴していて効果的です。銀賞の方とは逆に、イラストと文章の仕上げをもう少し丁寧に仕上がると、もう少し印象が強くなって、とてもよくなると思います。
洋書⑯
『The Red Candles and the Mermaid』
人間の欲と都合に振り回される人魚(姫)の悲哀を感じました。そして月夜に・・・ 「One night・・・」と「The girl・・・」の文字色が背景色と重なってしまって、読みづらかったのが残念でした。