時代を超える美しさ【研究室から】
梅が薫り始めました。
今年は、田中親美翁の生誕150年に当たります。
田中翁は100歳の天寿を全うされましたので、没50年でもあります。
渋谷の一等地に居を構えて、生涯無職!
佐佐木信綱博士が本郷の高台に住んで生涯定職なし、と好一対です。
書も絵も練達、古美術の鑑定にかけては最上級、さらに料紙装飾の見事さ。
数々の名品を複製され、その成果は現在も色あせておりません。
では、芸術院恩賜賞の技を御覧ください。西本願寺本三十六人集複製にあたっての試作品です。
益田鈍翁・原三渓・安田善次郎など錚々たる財界人がこぞって応援しました。
高雅な芸術と優れた人柄に全幅の信頼を寄せたからです。
もう1つお目にかけます。ほぼ1世紀を経て、色あせない美しさ。
一般の皆様は西洋の画家の名前を口にされても、田中翁はご存じない。
残念なことです。
(担当者は国粋主義者ではありません、念の為)
現在、ご本山付置の宝蔵館で田中親美翁の料紙が少々見られます。
本学の方々は無料です。
鶴見大学文学部日本文学科研究室