博さ・深さ【研究室から】
幸田露伴の誕生日が近づきました。
慶応3年(1867)、7月23日と26日の両説あります。
これを新暦に直すと、1ヶ月ずれて8月となるわけです。
博識かつ多趣味、広い関心事の一つ一つがとてつもなく深い。
多趣味の中でも、将棋と釣りは生涯の楽しみでした。
京都帝国大学で国文学を教えていた頃は、生け花の本格的修行。
そして弟子をお供に釣り。
無鑑札ゆえに罰金を取られたこともあったとか。
教室では、なかなかの名講義だったようです。
ただし、大きな頭が邪魔になって黒板が見えづらかったと言われています。
結局京の水に合わず、在職わずか1年で東京へ。
このあたりの話は、青木正児博士が『琴棋書画』で楽しく語っておられます。
(青木正児は、アオキ・マサルと読みます)これは露伴の旧蔵書『古今要覧稿』。
博覧強記の作家にふさわしい書物ですが、右下をご覧願います。
蔵書印「有水可漁」、いかにも釣り道楽の人ですね。
露伴は、小説・戯曲・随筆・考証論文と多作。
とりあえず『幻談』と『連環記』をおすすめします。
鶴見大学文学部日本文学科研究室