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2020年8月20日 (木)

かの白く咲けるを【研究室から】

暑い毎日、大学では授業が行われています。

(学科および科目によって差あり)

COVID-19も炎熱も、早くおさまってほしいところです。

「かう暑くては猫と雖も遣り切れない」とは、ご存じ漱石先生の弁。

せめて、黄昏時の涼しげな風景をお目にかけましょう。

Photo牛が2頭、車を引かせられて暑苦しそうじゃないか、と仰ってはいけません。

刀の柄に用いられる目貫で、どちらも3センチほどの大きさ。

艶のある赤銅に金銀の象眼が冴えています。

(この場合の赤銅は、金と銅の合金)

右側の1頭を拡大すると・・・Photo_2白い花は夕顔でしょう。

キュウリやスイカと同じような形の花です。

牛車の御簾は5ミリほどの間に15本刻まれています。

目立たないところにやたらと力をいれる心意気!

六条わたりのしのび歩きに、夕顔の咲く家がありました。

光源氏はその前で車を止め、花の名を随身に尋ねます。

「かの白く咲けるをなむ夕顔と申し侍る」

以下、あわれ深い話へと発展、どうぞご自分でお読みください。

人物を登場させず、持ち物や風景だけで暗示する「留守模様」。

刀装具には、源氏物語や六歌仙など意外にみやびな題材が使われます。

調べてみてはいかが(文化財学科のレポートとしても)。

鶴見大学文学部日本文学科研究室