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2017年11月18日 (土)

友(下)【研究室から】

友は大学に進み、魚の研究を始める。

望んだ道であったはずだが、研究を止め食品会社に入る。

曲折の後、斬新な事業を起こした。

年商100億だか1000億だかの会社を率いているとは、風の便り。

勿論100億と1000億とでは、雲壌の差がある。

しかし、僕には共に現実味のない数字ゆえ、いずれでもかまわない。

彼は、伊勢海老や鯛ではないものを着実に育てていた。

交際範囲がとてつもなく広がったはずだから、

同級の国文学者なんぞ、とうの昔に忘れてしまったろう。

でも僕は折々、闊達な笑顔を思い出す。

彼の名は、遠藤結城と言った。Photo_2ある日、新聞を見て驚く。君の訃報。

独逸車の事故により、亡くなった。

社長室は倉庫のように飾り気なく、水槽がひとつ置いてあったらしい。

釣った魚を飼うためである。

君の夢は、今、どこにあるのか。

築かれた巨富の上か。ふるさとの川辺か。

そのどちらでもよいが、遠藤君、忘れてもらっては困る。

君は約束を果たしていないのだよ。

伊勢海老にせよ鯛にせよ、1尾もおごってくれてはいない。

いずれ僕も、そちら側へ行くだろう。

その時、精進物は嫌だ。

             ・・・・・

さて、日本文学会の催しは来週土曜(25日)です。

南海先生の講談と碩学を交えての鼎談、贅沢な催しです。

(これは自画自賛)

入場無料・予約不要、午後1時より入場可能。

会場内は飲食禁止となっておりますので、ご注意ください。

午後5時全プログラム終了予定、休憩時間を設けます。

ご都合により途中退席されても結構です。

お誘い合わせてどうぞ。

鶴見大学文学部日本文学科