甘党【研究室から】
2月9日は、夏目漱石の誕生日です。
慶応3年(1867)正月5日の生まれですが、新暦に直せば2月9日。
文章のうまさ、と言うより、思索を広く深く展開する文章の力に感心します。
漱石は、ジャムをなめたり砂糖豆をかじったりの甘党でした。
なかでも羊羹、それも青磁の器に盛ったものを絶賛しています。
(どの小説かはお調べ願います)
では、ご覧ください。高麗青磁、立菊白黒象嵌の皿です。13世紀の作と判断します。
(羊羹は13世紀ではありません)
北海道の和菓子屋さんが作りました。
材料に小豆を使わないところ、ちょいと変わった味です。
さて漱石小説の魅力の一つは、女性像でしょう。
たとえば『彼岸過迄』の千代子。
(小間使いの作もなかなかうまく書かれています)
「男は卑怯だから、さう云ふ下らない挨拶が出来るんです」
これは名台詞、どう思われますか。
つい「研究者は卑怯だから、そう言うくだらない理屈をこねるのです」
などと言ってみたくなり・・・
泉鏡花や芥川龍之介、また室生犀星の甘い物好きについては、いずれ。
鶴見大学文学部日本文学科研究室