マイ字典
2010/03/05
高校の教科書に載っているような隋・唐の楷書を、「独学で練習してみよう」と決めたのならば、天来書院テキストシリーズの筆路を参考にし、手元に書道用具がないときには『楷書がうまくなる本』を拾い読みして、「なるほど」と気づいた点、考えた点を『常用書体字典』(写真左下)に書き加えてゆきます。古くに筆で書かれた文字と新・旧の活字体とでは、字形や点画の細部が異なることがありますが、古典に見慣れ、知っていることを増やしながら練習すれば、難しそうな字もさまになってきます。
さらに「高校生に古典の臨書を教える」「古典の書風での作品づくり」といった目標で学ぶには、字典を作ってみることです。上の写真は『九成宮醴泉銘』の字典ファイル1冊。
手本に使っている法帖をコピーして一文字ずつ切り離し、書道字典の順に整理して貼ってあります。何となく取捨したりせず、全部の字を整理しておきます。『風信帖』、『蘭亭序』など、字数の多くない古典で試しに作ってみて、手順を考えるとよいでしょう。下の写真は、整理した文字を全部挟み終えて、(そのときには180度以上に開いて閉じられませんでしたが、)ピンセットのところまで抜き取って貼り込んだ時点での『角川書道字典』の状態です。
刊行された字典を選んで使い慣れるのも大事ですし、スキャナーで取り込んでの字典作りも考えられますが、鋏と糊を使う間、古典の文字を指先に挟んで作業をしますから、それが「目習い」のよい時間になります。
日本の史料のくずし字を読む字典は、書道字典とは別に必要です。自分にとって適当な情報量で、読みたい史料に出てくるくずし方が載っている字典を選びます。