投扇興点附 : 源氏五十四帖

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投扇興の資料が入りました。投扇興点附 : 源氏五十四帖がそれです。投扇興とは、「江戸時代に始まった室内遊戯の一。方形の台の上にイチョウ形の的を置き、離れた所から開いた扇を投げて打ち落とす。その落ち方や扇の開き具合により技の優劣を競った」(以上、デジタル大辞泉より)というものです。

この資料には、源氏香と呼ばれる図柄があります。源氏香とは、「組み香の一。5種の香をそれぞれ5包ずつ計25包作り、任意に5包を取り出してたき、香の異同をかぎ分け、5本の縦線に横線を組み合わせた図で示すもの。図は52種あり、源氏物語54帖のうち、桐壺と夢浮橋を除く各帖の名が付けられている。後水尾(ごみずのお)天皇の時代に考案されたという。」(以上、デジタル大辞泉より)

そして、それぞれの図の右上にあるのが点数です。

本学教授によると、投扇興の点数表には有名な日本画家の上村松園が描いたものもあるそうで、それには、いかにも松園らしく、女性の姿も描かれているそうです。

この資料は、出版情報に東京とあるため近代のものですが、江戸期以降このような遊びが日常生活(とくに花柳界でよく行われたようです)の中にあったことが想像され、典雅な世界に触れるのも楽しいものです。裕福な家や貴族の遊びなのかもしれませんが、物を投げて点数を取るその精神は、現在の輪投げなどの遊びにも通じるものがあると思われます。時は違えど、人の考えることは同じなのかもしれませんね。

(K.I.)